会長挨拶
近年、医学分野におけるコンピュータ技術の進歩は急速で、その応用も多岐に渡ります。
そして、当初予想された分野を超えて急速な変貌を遂げています。特に外科分野においては、コンピュータを用いた仮想空間における模擬手術が可能になるなど、コンピュータシミュレーションの果たす役割が大きくなっています。また、対象とする器官や組織の材料情報を組み込むことによって、手術環境を再現し、その結果を予想することさえ可能になるなど、シミュレーション外科から生まれた技術が大きなインパクトを与えています。
今回、本学会は22回を迎えます。これまでのシミュレーション外科研究の歴史をふまえながら新たな展望を探りたいと考え、テーマを「シミュレーション外科 —基礎と臨床の融合—」と致しました。本学会を通し、シミュレーション外科を究める研究者達が闊達な議論を行い、得られた研究成果を皆で共有し、その成果を臨床に応用し社会に還元することこそ、本学会の使命であると考えています。そこでシンポジウム「シミュレーション外科の社会還元」を企画致しました。シンポジウムの座長に厚生労働省医薬食品審査管理課医療機器審査管理室長の浅沼一成氏をお迎えし、基調講演をお願いしております。
特別講演Ⅰでは京都大学名誉教授で現在日本大学教授をお務めの堤定美先生に「外科用シミュレーション技法のあれこれ」について講演をお願い致しました。また、特別講演Ⅱでお招きしておりますピッツバーグ大学のSavio Woo教授は生体工学の世界的な権威で、スポーツ医学に多大なる貢献を成したとして1998年には国際オリンピック委員会サマランチ会長から金メダルを授与されています。ちょうど、中国から米国への復路と時期が合いましたので、ご講演をお願い致しました。特にロボットを用いたシミュレーションで成果を挙げられています。
我が国のシミュレーション外科研究を先導する学会に相応しい学術集会にするべく、主催者一同、鋭意努力をしておりますので、本学会の内容を充実させ、その成果をより大きなものとするために皆様のご協力をお願い致します。
学会場は丸ノ内に立地し、新装した東京駅、丸ビル、新丸ビル、皇居、東京タワー、スカイツリーを眺めることのできる東京のなかでも格別のロケーションです。皆様のご参加をお待ち申しあげております。
第22回日本シミュレーション外科学会 会長
(日本医科大学大学院医学研究科整形外科学 教授)